外側断熱工法と内側断熱工法の違い

  外側断熱工法
内側断熱工法
外側断熱工法の
メリット
躯体への影響 日射による熱を屋根スラブに伝えないので、屋根スラブの上下温度差は夏の日中でも3℃以下です。そのため、屋根スラブが受ける熱応力*1は極めて小さく、躯体を痛めません。

熱容量の大きい屋根スラブが直接日射を受けるため、上下温度に時間的ズレが生じ、日中は10℃以上も差があります。そのため大きな熱応力*1を受け、クラック等の原因となります。

建築の寿命が
のびます
居住環境への
影響
屋根スラブの上に断熱材があるので、日射によるコンクリートへの蓄熱を少なくします。そのため、夏季夜間の「ほてり*2」がありません。

屋根スラブが直接日射を受けるので、日中、多量の熱を蓄えます。熱容量*3の大きいコンクリートに蓄えられた熱エネルギーは、断熱材でも防ぎきれず、夜間に「ほてり*2」を生じます。

「ほてり」が
なくなります
結露の発生 屋根スラブを外気温の影響から遮断することができるため、熱的に安全で結露*3は発生しません。

天井吊り金物など冷熱橋*4となり、局部結露が発生します。

「結露」が
防止できます
屋根スラブの
温度変化

(図の温度変化は、真夏の日射と外気温を仮定した計算結果です。)

(図の温度変化は、真夏の日射と外気温を仮定した計算結果です。)
  • *1 熱応力:温度変化によって物体に生じる膨張や収縮という変化が、外的な力やその物体内の相互の内部関係によって拘束され、それによって生じる物体内部の抵抗力のこと。
  • *2 ほてり:コンクリートの熱容量は非常に大きく、夏の日射を受けると蓄熱し、夜間になると室内に放熱する。この時の暑さを「ほてり」という。
  • *3 結露:壁・床・天井などの表面あるいは内部の温度が空気の露点温度以下に下がり、建築材の表面に露を結ぶこと。
  • *4 冷熱橋:構造体の一部が他部より熱的に弱いと、その部分から貫流熱量が他部より多い。このような部分を冷熱橋という。冷熱橋部はその室内表面温度が冬季は他部より低温であるから結露しやすい。
  • *5 熱容量:物体の温度を単位温度上昇させるのに必要な容量、単位はkcal/℃、joule/℃、一般には、均一な物体の熱容量は比熱と質量の積で与えられる。